1022年3月 討伐:親王鎮魂墓

孤独と孤立。


__2月下旬。

<ruby>夏来<rt>なつき</rt></ruby>
夏来なつき

おや、居間に居たんだね。君を探していたんだよ。ここには何度か来ていたけれど、どうやらずっとすれ違っていたみたいだ

しずか?
しずか?

……夏来なつきさん、さっきから何度か姿を見ると思ったら、あたしの事を探していたんだ

夏来
夏来

君に渡したい物があるんだ。これなんだけど、受け取って貰えるかな?

しずか?
しずか?

ありがとうございます。……あたし宛の文みたいね。誰からだろう?

夏来
夏来

それは読んでみてのお楽しみだよ

しずか?
しずか?

それじゃ、早速読んで…………って。えっ、これは……


さて、3月です。
大江山を思い出すような白い雪の季節は終わり、新しい局面へと移り変わる春の季節となりました。
先月までおもいっきり大江山越えに関わる云々を引きずり続けていた高千穂たかちほですが、ようやくこれらに一区切りついて先へと進めそうな状況になってきたかと思います。

そんな高千穂家を象徴するような出来事が今月起こっております。
さてはて、しずかちゃん(仮)に届いた文はどんな内容だったのでしょうか?


しずか?
しずか?

これは……名前?

夏来
夏来

交神の折に渦女うずめさんと二人で考えてきたんだよ。「しずか」と読める、君によく似合う名前を

しずか?
しずか?

えっと……その……

夏来
夏来

君は渦女さんの子で、これから来る僕の子の姉に当たる。つまり僕にとって君は自分の子ども同等の存在なんだ。血は繋がらないかもしれないけど、君の父親として僕も君に贈り物をしてあげたいと思ってね。気に入って貰えたらいいのだけれど

<ruby>穏香<rt>しずか</rt></ruby>
穏香しずか

あのっ、ありがとうございます! あたし、とっても嬉しいです!!

夏来
夏来

喜んで貰えて嬉しいよ。これから先、何かあったら遠慮無く僕を頼って欲しい。

夏来
夏来

……僕は君の父親なんだから、ね

って事で、ようやく「しずかちゃん(仮)」の名前が正式に決まりました。
『穏やかに香る』と書いて穏香しずかです。

今月から穏香が実戦部隊入りという事で、いよいよ本格的に動いて参ります。
影の薄さが玉に瑕?ですが、どうぞよろしくお願いします。
薙刀士として新しい道を切り拓いて行きましょう。

そしてもう一つ、一区切りと言うにはあまりにも寂しい話題がありまして。

当家の先輩薙刀士であり現在最年長の冬郷とうごなのですが、とうとう健康度が下がってきてしまいました。
まるで後輩の穏香と入れ替わるかのようなタイミングです。
直近で健康度低下が起こったのが雪衣の1021年7月だったって事もあり、久し振り過ぎてメンタルへのダメージを激しく感じます。

ああ、高千穂家から大江山討伐メンバーが居なくなってしまうんだな。
大江山越えはまだほんの少し前の話だって言うのに。

今月は春の選考試合があります……が、出るかどうかは正直悩ましい所。
時節柄少しでもお偉い方様の顔を立てておきたい所なのですが、今は名誉よりも戦力の底上げが必要な時期だと思うのですよ。
何せ2月の討伐で木っ端相手に部隊半壊されてますからねぇ。

<ruby>昴輝<rt>いぶき</rt></ruby>
昴輝いぶき

ブンさんの言う通りなんだよね。これからの事を考えると、燈衣とうい達をもっと鍛えておかないとダメだよなってオレも思ってるよ

おや、昴輝いぶきも今の戦力に不安を感じているみたいで。

昴輝の言う通り、昴輝世代がメイン戦力な間にもっと次世代……燈衣とういや穏香達を鍛え上げて行かなければ、今後の討伐が立ち行かなくなってしまいます。
大江山越えを優先して燈衣の育成を後回しにしたツケが今来ている状態なんだよなー。

昴輝
昴輝

だからオレ、今月は選考試合じゃなくて討伐に行こうと思ってる。少しでも多く燈衣達に実戦経験を積ませておきたいんだ

プレイヤーも昴輝と同意見です。
って事で、今月は選考試合への出場を辞退して討伐へ行く事にしましょうか!

……は良いのですが、問題なのが討伐メンバーです。
燈衣と穏香が行くのは決定として、実戦経験に乏しい二人のサポートを誰にお願いするか、こちらも非常に悩ましい話な訳でして。
だってホラ、今の高千穂家って色々と拗れてるじゃないですか、その、えっと。

昴輝
昴輝

そこは大丈夫だよ、もう誰が行くかは決めてあるから!

え、そうなの?
じゃあその辺は全部昴輝にお任せして……。

って、おい、ちょっと待て。
コレってプレイヤーが一番恐れているメンバー構成じゃないの。
君さ、ウチの現状を判った上で言ってる???

昴輝
昴輝

うん。今ウチで一番強い組み合わせの二人を揃えているから、これなら燈衣も穏香ちゃんも安心して討伐へ行けると思うよ!

そんな自信満々に言われましても、プレイヤーが燈衣達の立場だったら居たたまれない事必須なメンツなんですけど。
何を考えて昴輝が選んだのかプレイヤーは理解出来ません。
さすがに無策ではないと信じてますが……ナンカコワイ。


<ruby>報世<rt>しらせ</rt></ruby>
報世しらせ

……昴輝。お前、本気で言っているのか?

昴輝
昴輝

勿論、本気だよ。オレは報世しらせに隊長を任せるべきだって考えてる。メンツだってオレの中では一番良い組み合わせだって思ってるんだ

報世
報世

…………………………そうか。判った

1月討伐の時にも思ったんだけど、報世しらせって今も一族の役目は断らず粛々と遂行してくれるんですよね。
唯一の望みだった「一族の呪いを断ち切って自由になる術」を失って、今の報世には一族と一緒に行動する理由なんて既に無いのに。

昴輝
昴輝

そうだ。今回の討伐で報世には他にもお願いしたいことがあるんだ。聞いてくれる?

報世
報世

……何だ?

昴輝
昴輝

京の都やその周辺の様子、外から見てウチがどう見えるのか、そしてオレ達家族一人一人の事を、報世の目で見て肌で感じて理解して来て欲しい

報世
報世

何でそんな事を……

昴輝
昴輝

コレは今の報世にすっごく必要な事だと思うよ。そして、今後のオレ達にも重要になってくる

昴輝
昴輝

報世にしかお願い出来ない事だから。オレの代わりに頼むよ。ね?

報世
報世

…………………………


改めまして、今月は報世を隊長にこの構成で迷宮討伐へ向かおうと思います。
討伐メンバーは先にお伝えした通りで。
個々の事情はさて置けばバランスのよい組み合わせなのかなと。
年長者二人が強いだけでなく技力タンクなのも心強い。

報世
報世

……そろそろ出るか

<ruby>燈衣<rt>とうい</rt></ruby>
燈衣とうい

待ってぇな報世サン。まだ穏香チャンが来てへんで?

夏来
夏来

初陣だから準備に時間が掛かっているのかもしれないね。もう少し待ってあげた方が……

穏香
穏香

あの……あたしならココに……

燈衣
燈衣

あれっ、穏香ちゃん、いつの間にソコにおったん???

夏来
夏来

ああ、すまない。もう来ていたんだね。気付かなかったよ

穏香
穏香

いえ、気にしないで下さい

よくある事だから……

報世
報世

……行くぞ

相変わらず穏香は影が薄いらしく、家族も時々姿を見失っているみたいです。

今月は親王鎮魂墓で新人二名を育成しつつ、出来る限り多くの戦勝点を稼いでいきましょう。
黒ズズ大将を見掛けたら速攻逃げる。木っ端には油断するな。この二つはしっかり胸に刻みつけておいて下さい。

……プレイヤーとしては討伐そのものよりも道中で何が起こるか心配ですけどね。
それでもまぁきっと壊滅的なことは起きないでしょう。報世や夏来なつきは頭の良い子達ですから。


相も変わらず一族には訳の分からないことを突拍子もなく言い出す黄川人きつと
どうやら自慢のお庭は完成した模様ですね。

穏香
穏香

ねぇ、燈衣君。この人って誰なのかな?

燈衣
燈衣

おとうが言うには、この人がホンモノの朱点童子らしいよ。ウチもよう知らんけど

大江山越え後からの参戦で一族の事情に疎い新人二人。

夏来
夏来

「七本の髪」か。中々面白い事を言い出すね、彼は

報世
報世

………………………………

そして、あくまで自分本位なベテラン二人。
……マジで大丈夫なのかこのメンツ。

赤い火は無し。
穏香を成長させつつ、今現在行けるギリギリの所(地下二階の前半エリア)へと向かいましょう。

穏香の初成長。のステータスの上がりがとてもいいですね。
特に技の水。いきなり21とか凄すぎる。正に鳴門屋 渦女様の血が成せる技だよなと。
その反面、技の火技の風は今後闇の光刃を得物とする薙刀士としては少々心配な所。

報世と穏香は親子揃って属性武器と素質が合っていないのが何とも言えず。
親子で属性を交換できたら理想的なんだけれどなー。

前回初陣の燈衣も中々の戦力になってきたなといった所ですね。
穏香の技の風は……これはもう命音系統が抱える呪いみたいなモノ……技の素質……。

なお穏香の初行動は自分にお雫でした。謙虚な子だなぁ。
初陣の子はどうしても狙われやすいからね。


穏香
穏香

話には聞いていたけど、鬼ってこんなにも強いんだね。全然敵わないや

穏香
穏香

ちゃんと自分で回復しておかないと、みんなの迷惑になっちゃう

報世
報世

…………………………

穏香
穏香

あのっ、父さま。あたしは大丈夫だから……

報世
報世

普段は他人から全然気付かれないのに、こういう時は敵の的にされているんだな

穏香
穏香

うっ…………………………

穏香
穏香

父さま……

報世
報世

何故そうなるのか自分で考えてみればいい。……話はそれだけだ。

報世の方から穏香に声を掛けるなんて、何とまぁ珍しい。
(嫌だと思っていても見捨てられないのは報世らしいとも言える)

そういや報世ってば穏香をちゃんと捕捉出来ている様子ですね。
家を出る時も報世だけ穏香が居ることにちゃんと気付いていたみたいですし。
これは血の成せる技か、はたまた報世の異次元レベルな洞察力の成せる技からなのか


今月の親王鎮魂墓で経験値稼ぎに倒したい敵 No.2の百会シバキ

今月の親王鎮魂墓で経験値稼ぎに倒したい敵 No.1の毒むらさき
両方とも一体で貰える経験値が大きいのが魅力的なのと、報世+夏来 or 燈衣の二人で倒せるのでありがたい存在です。

ただ、相方の軽足大将が結構強くて(と言うか硬くて)ですね。
ちょっと倒しきるのに骨が折れるなぁと言った所感です。

こんな感じで、3〜4人掛かりじゃないとキツいです。
(この時は燈衣が連撃&会心を出しているので2人掛かりで倒せていましたが)
ダメージソースとして報世がもう一人欲しい所。

前回討伐時は軽足大将に苦労した記憶は無かったのになぁ……と思って調べてみた結果、やはり属性武器の差が大きい模様で。
冬郷と闇の光刃、そして昴輝と剛鉄弓の組み合わせがマジ強すぎたのよね。
初陣の穏香は今後に期待するとしても、夏来の(実質)属性武器無しが本当に辛いなぁ。

当家にある槍の属性武器って、笹ノ葉丸だけなんですよ。
(と言うか、大江山越え前までに入手出来る槍の属性武器が笹ノ葉丸のみなはず)
軽足大将相手だと属性分の上乗せがあったとしても無属性の片鎌八角槍よりダメージが劣ってしまうんだよねぇ。

ワンランク上の槍の属性武器が欲しいなぁ。
実は今居るフロアのもう少し先に、それを持っている敵が居るのは知っているけど、実力不足で手が届かないと言うこのジレンマ

燈衣と穏香が同時に成長。
……二人共、成長具合に大きな問題はないんだけれど、今後この二人の世代がメイン戦力となった時の事を考えると、どうしても不安が拭い去れないんですよね。
プレイヤーの脳内に「停滞」の二文字がチラチラ浮かんでくる……。


燈衣
燈衣

穏香チャン、やる気いっぱいなのはええ事やけど、無理はアカンよ? もっと力抜いてぇな

穏香
穏香

心配してくれてありがとう、燈衣君。でもね、あたしまだまだ大丈夫だよ。みんなの役に立てるように、もっと頑張るんだ!

燈衣
燈衣

……健気なんか頑固なんか、よう判らん子やね、穏香チャンは

燈衣
燈衣

まるでどこぞのお父を見てるみたいや。前向きすぎて、何だか眩しいわぁ

燈衣と穏香は関係良好そうです。


夏来
夏来

燈衣と穏香の二人は戦力においては及第点と言った所か。……まぁ「土台」は良いから「次」には期待出来るだろう

報世
報世

夏来の奴、またクソみたいな事を考えてるな。そういう所は本当に虫酸が走る

そして、やっぱり相変わらずな報世と夏来。
夏来は口に出してないのに何故か解っちゃう報世のテレパシストっぷりが常軌を逸してて何か怖い。
(※そんな能力は持ってません)

こういう所を見ると、報世は天才ではないかもしれないけど、凡人でも常人でもないよなぁ、と。

報世
報世

ただ、アイツの考えていることは理屈上最善だ。京のやつらは鬼の脅威から解放されるなら倫理も道理も問わないだろうさ

報世
報世

……何が『オレ達にも重要』だよ。あの脳天気当主も俺のことを都合よく使いやがって

報世
報世

俺の事を信じてるような素振りを見せて、お前だって夏来アイツと同じじゃないか

報世
報世

そんな訳無いだろう! 俺の事を理解わかってくれる奴なんて、誰も居ないんだ……っ!!

一人で拗れて、一人で現実に苛まれまくっている報世です。

今の彼には誰の言葉も通じないし、何も信じていない。
ずっと自分以外の家族との間に認識のズレを感じていて『孤立』から逃げ出したかった報世にとって、解呪という名の蜘蛛の糸が切れた末路にあるのは『孤独』という名の地獄だった。
それは多分報世が一番恐れていた(=高千穂家に来訪する前と酷似する)末路なのだろうな、と。

夏来
夏来

……何もせずとも自ら勝手に地獄へと転がり込んでくれるのだから、僕の方は楽で良いよ

夏来
夏来

僕は君を許さない。これからも、この先もずっと

夏来
夏来

君が地獄でのたうち回っている傍らで、僕は君が欲しているであろう幸せを享受し続けるんだ。君に対するこれ以上の復讐方法は無いだろう

幾ら許せないと言っても夏来が自らの手で報世に制裁を加えたりはしないでしょう。
そこまで夏来は無粋じゃないし心も狭くない。
それどころか、もし報世が自分に救いを求めるのであれば、夏来は報世に喜んで手を差し伸べるんじゃないかな。

夏来はこの期に及んでも報世の事をとても信用しています
「報世が考える事は道理が通っている」のだと無意識下で思っているのですよ。
だから報世が望むであろう「幸せ」が自分の手元に来るようにした。「復讐」という名を冠して。

夏来、君ってば報世の事がホント好きなんだね。


今月はとにかく戦って戦って戦って、新人二人の育成と奉納点を稼いで終了。
何だか最初の頃を思い出しますねぇ。
相翼院の奥の院を遠くに感じていた初代当主・巡流の心境と今の状況が重なって見えます。
巡流の時代も親子喧嘩で一族の雰囲気が最悪だったよなートオイメ。

育成の結果はこんな感じです。
穏香の体力も400台に乗ってきました。
って、穏香の技の水が既に夏来を上回っているじゃないですか!
これは技の素質が重点的に上がり始める頃には結構な数字になっていそうで楽しみだなー。
技の風からは目を逸らしつつ)

心配なのが燈衣の体力。思っているよりも伸びません。
500台に乗っかってくれるかどうか……といった所になってます。
拳法家は前列で連撃するのが美味しい職業なので個人的にはもっと伸びて欲しい。
体の水の伸び具合は悪くないので、体の素質が上がりやすい元服辺りまでにあと数回成長出来ればいいのですが。

とは言え、現時点で既に親世代と比べて遜色ない状態なので、今後の成長に期待しましょう。

報世の土産話……何話すんだろう?

親王鎮魂墓討伐終了後……