1020年10月 討伐：相翼院

雪衣の願いを叶えてくれてありがとう、命音。

※1020年4月以降は討伐隊勇退の為、基本的に休養。

命音を一言で表すと「内助の功」なのかな。
兄であり二代目当主でもある信武の腹心として、高千穂家を裏側から支えてくれた人です。
信武を一族の父親的役割だとするのなら、命音は母親的役割を担っていた、そう思っています。

プレイ記内の一族チャットで存分に存在感を発揮していた命音ですが、実機プレイという側面から見ると実はとても影の薄い子だったのですよ。
すぐ上には当主の兄、すぐ下には身体能力の優れた双子に挟まれて、一人黙々と敵を切っていく。
目立ちはしないけど与えられた役目は確実にこなす、そんな静かで武士の鏡のような印象を持っていました。
それは恐らく彼の持つ能力値がそうさせていたのでしょう。

これは1020年10月、相翼院討伐終了直後の能力値です。

対象となるのが次代の子達ばかりですが、それでもこのスクショから命音の特性はよく判るんじゃないかなと思います。
そう、技の能力値が全般的に低いのです。
何でも器用にこなしていく印象が強い命音ですが、実際はとても不器用な子だったんですよね。

初陣直後から危惧していた技の水に至っては、結局70を越えていません。
実と言うと命音は、お雫を覚えていないんですよ。
技の水は「炊事洗濯等の家事を想像する能力」のイメージをプレイヤーは持っているのですが、あれだけ家庭的に見えた命音の技の水がこんなに低いんだ……と言うのが本当に信じられないよなと。

でも、これがある意味、命音を象徴しているのでしょう。
彼は物凄く努力家で、人一倍頑張って色んな事が出来るようになっていったのだろうな。
本当は苦手な筈の家事も母親を助けるために覚え、今後来る子達の為に色んな職の指南書に手を出していたのかも、そう思うのです。
そして、そんな努力している姿をおくびにも出さない所もまた、命音らしいのかなと思います。

命音の遺言ですが、初見は「命音のイメージと違うな」と思いました。
「信武と比べて」真面目で朱点童子討伐の宿命に前向きだったと思うし、「初瀬と比べて」礼儀正しく感情を無闇矢鱈に表出させず、「逢瀬と比べて」コンプレックスを理由に鍛練や能力に拘っている印象もない。
プレイヤーが想像していた命音はそんな余裕を持った秀才タイプでした。
しかし、そんなイメージとはかけ離れた、口調が荒く強がった印象の、どちらかというと後ろ向きな遺言を引いてしまった。
……さて、どうやってプレイヤーが脳内で想像している命音と遺言をつなぎ合わせようか？
プレイ記を作り始めてから暫くは、その事で結構頭を悩ませておりました。

命音の設定で「キレると口調が荒々しくなる」と言うのがありますが、これは遺言から持ってきた後付け設定です。
そういう事もあり、命音の基本的な設定と矛盾を感じる部分だったのではないかと思います。
（と言うか、プレイヤー自身がプレイ記を作りながらも違和感を持っていました）
その印象が変わったのが、1019年5月の閑話「信武のパーフェクトファッション講座！」です。
命音が信武へ真剣を持ちだしたシーンを描いていた時に、やっと命音が何故荒々しい言葉を使うのかを理解できたのです。

命音はプレイヤーが思っているよりもプライドが高く、かつ精神的に弱い人間だった。
だから、虚勢を張るために言葉を荒げてしまったり、感情に流されて真剣に手を伸ばしたりしてしまったのかな、と。

そう思ってから再びこの遺言を見直してみて、命音の言葉に「なるほどな」と思ってしまったのです。
命音は自分の至らなさを認識していて、弱さの理由も理解していた上で、ずっと自分に抗いながら皆が知っている「優しくて頼りになる勇敢な命音」でいてくれたんだ。
それが、命音にとっての「武士の矜恃」だったのか、と。

そして、自分の死を目前とした状況の中、自分の弱さから生まれる恐怖心を、虚勢を張りながらもポロッと口に出してしまった。
これがまた、命音の、命音たる所以でもあるのでしょうね。

お疲れ様、命音。
命音にとっての無念はきっと、朱点童子を倒せなかった事ではなくて、遺言で本音を零してしまったことの様な気がします。
それでも命音の言葉は、きっと後の高千穂家の人々……特に娘であり当主でもある雪衣には深く残るのではないかと思います。
もしもの未来、命音と同じように心の弱い一族が訪れたときに、伝えてあげるエールとして。